2012年6月9日土曜日

福岡

また福岡に行く事になった。

以前、行った時は何年前だったか。

日本アーユルヴェーダ・スクールの講義で福岡に行った。
福岡の街は街中に屋台があったのを覚えている。大きな川が通る街で沢山の屋台の暖簾の間から電球の光と笑い声が多く漏れていた。

講義が終わってから時間を少し余分にとっておいたので隣の佐賀県の唐津という所に向かった。
静かな海を見てお城が見えた記憶がある。玄界灘の海は静かで砂浜もさらさらで季節外れか誰もいなくて今日みたいな天気だった。少し灰色、横にふる小雨と誰もいない海。

翌日は打って変わって綺麗に晴れた。
開いた時間で探検することになった。
地元の人に近くにあるめぼしい場所を聞くと宝くじが当たる高島というのが有名だという。宝くじで有名というあたりにもう行く気がなくなる。従来のやり方で行き先を決めた。

インドのいるときからそうなのだが僕は地図だけみて地形や名前で行く所を決めるやり方が好きだ。それで今回、選んだ場所は名前で決めた。

神集島とかいてカシワジマという所だ。

唐津からバスに乗り半島を北へ向かい2時間ほどだったか。
地方のバスは値段がどんどんと上がっていく。
太陽の光が海に反射、キラキラとしていた。

港の近くのバス停に降りた。
家と自動販売機とバス停と国道。
道を降りていくと連絡船のりばに。
連絡線にのって30分ほどで神集島に着いた。


神集島に着いた。ワァ。ウレシイと思っていた。
港の前にはちょっとした広場があり、木の壁が目立った記憶がある。
右に行こうか、左に行こうか、とりあえず、心が赴くままに歩いてみる。

建物と青空。
風の音がする。

声はどこにも聞こえない。
気配もしない。

昼間は皆、漁に出ているのか。

普段、東京で人にあふれているときに嫌になる。
自然の綺麗な所で地球と自分だけという空間が好きだ。
でも集落で生きている気配がしないのは不気味だった。

歩いて集落の外れに来た。
海沿いの通り。
やっと人の声が聞こえてきた。
どこかホッとした。

耳をすますと幾人の人の声が聞こえる。

「ここはどこかなぁ~?」(おばさんの声)

幾人もの人の声が後に続く。

「わぁたしたぁちの居る所は~、デイサービス、コォ~スゥ~モ~スゥ~」(老人数名)

コンクリートの味気ない建物には「デイサービス・コスモス」とあった。

「軍隊みたい」と思った。

そして先には保育園が。

通りすがり窓の中を除くとちょっと変。
保母さん4~5人、園児2人だった。

どこかグッタリ。

「やっぱり過疎化って寂しいかな」でも生き物が年取っていくように街とか集落とかも年とって変わっていくのねぇ。経済とかも人の流れを作って。あちらこちらに巣を作っては諸行無情。

そしてさらに海沿いを先に歩いて行くと岬のようになっており行き止まりには神社があった。
まわりの海の潮の関係か、ゴミが流れ着き、その中にはハングル文字のものも。

「やっぱり近いんだな」

なにか大層な石の板が飾ってあった。近くに看板に石の塊の由来が。
フムフムフムフム。

どうやら蒙古襲来の時にここに立ち寄ったそうだ。
それで海があれて、「もう、あかぁ~ん」と石を捨てたものを拾って飾ったとある。

あぁ、なんか切ない場所だな。
ゴミが集まって、蒙古もテンパって捨てちゃって、コスモスで保母さんの方が数が多くて神集島。


島をさらに先の方まであるいて島の北側にきた。小学校を越えると地元の人のお墓。道端には花が割いていて誰もの心の中の原風景的正当派日本の田舎。

小学校を越えて進むとさらに出てきたものは。

神集島の火葬場。

凄くお手軽サイズの火葬場だった。

さらに続いて奥地まで行くとなんだか恐ろしくなってきた。

人がいないことが何かきつい。
風の音とか草が揺れている感じに「生気」が感じられない。

天気は良くて、海は綺麗でもなにか冷たくて。
自然は綺麗なのに。

なんだかこれ以上、奥の方までいっちゃいけない気がしてきた。
戻ることにした。

人の居ない道を越えて火葬場を越えた。
島の裏側に当たる場所はどこか汚いものには蓋をしろ感満載で奥の方にあった。

元の場所に戻る事にしたけど同じ道を歩くは好きではない。
歩き始めていくのだけど降り立った時のようにワクワクはしていなくて少しビクビク。
疲れ始めて足取りも重くなり始めた。青空と太陽の光に囲まれつつも静かで暗い。

それで街の中心地に戻ると今度は山の方にハイキングコースみたいなのがあると。
それは山の中の古墳に続いていた。

フムフム。古墳か。古い時代、本当に住んでいた王族達の墓になっていたのか随分と古墳があるようだった。山に向かう途中、この島で一件の喫茶店らしき店。すでに閉店していた。

コスモスで火葬場で古墳。
生の終盤にまつわるものばかり。

でも園児2人。

古墳でも見てやるかという事で山の中に入って、歩いていく。

木々が両方に生えている。
林の中を進むと分かれ道が。

分かれ道を右にいきまた進む。
また分かれ道が。
なぜだか小さな分かれ道が幾度となく出てくる。
しばらく歩くと最初に来た場所に。
林の中だけどなんだか山に化かされて。


「もう、いやぁだぁ」となってしまった。
自然の中は何時もは好きなのに何かいつもと違う感じで変だった。
つげ義春ワールドに迷い込んだ感じ。



もういいや古墳は。怖いし。
お墓だし。歩いて行ってたどり着かないし。

火葬場の先も気持ち悪くなって戻った。
古墳もグルグルまわって断念。
それで街に戻って行く途中、民家を見ると皆、同じ名字ばかり!

やっと集落に着いたのに。

あぁぁぁぁぁ

いやぁぁぁぁぁぁ、

という所を前を猫が横切った。

なにかホッとすると思って、猫を呼んで振り返ってもらったら・・・・・・

右目がグチャグチャで出血していて梅図かずお


ヒィィィィィィィィィィ
ギャーって声が自然に出ました。

港にたどり着いた。
昔見たホラー映画が終わった気分。

疲れた。港では何がタプン、タプンと呑気な音を立てている。

写真を取ってみたら自分の顔色がメチャクチャ真っ白だった。

自黒なのに青黒い変な色。

もういい!!もう酒飲む!!(当時はまだ飲んでました)
と神集島の購買部たるお店で酒を求めた。
神集島の購買部には酒は置いてなくて近所のもう一つの店にあると。
購買部を出て20mほどでその店はあった。
ビールがあった。
ちなみに二件しか店はない。
購買部ではおつまみを買った記憶がある。

神集島購買部前のベンチに座ってビールを飲んでいると神集島に住むチンピラのような歩き方の男性が来た。


「俺は不思議な力があって人の事がわかる、俺は外さない」

神集島の最後の飾り。
ホラー映画の後のほら吹きオジサン。

また連絡線に乗って本島に帰って不思議オジサンと一緒にいた女性が車で唐津まで送ってくれた。

「クリスタルを買いませんか?」的な事を言われた。

そんな思い出の福岡にまた行きます。

今回は講義してすぐ帰ります。

0 件のコメント:

コメントを投稿